マルコによる新明解独語辞典

WEB連載「マンガのスコア」とマンガ「ゴミクズマン」の作者のブログです。

承認をめぐるゲーム

この世でホリエなにがしという個体に受肉してしまった以上、もうこれでやっていくしかないのだが、そんな大したスペックもないのに、人生の勝ち負けを決めるゲームに参加するのは、なかなかしんどいものがある。

そんなゲームに積極的に参加する必要など、そもそもないと言われればそうかもしれない。しかし、そこから降りるにしても、それなりの戦略と才覚が必要だ。

なんとかシノいで生きていく、というギリギリのゲームには参画しつつ、それ以上の余分な要素を回避し、不快な局面に陥らぬよう細心の注意を払う。

どのみち、生きていくのは闘争であるという側面はどうしても避けられない。避けようとしても、闘争から逃走するための闘争、という別の闘争が待っているだけだ。

こうして、いかにしてしんどい状況を回避し、ババを引かないためにはどう振る舞うべきか、という戦いを日々続けているわけだが、そんな中、最近ではSNS上の承認をめぐるゲームにも参入することになった。

こんな大変な闘技場で、どれほどの成果が得られるのかわからないが、自分の身の丈に合った収穫で、それなりの慰撫が得られればよいとしよう。

昨年までの2年間(2020年3月から2022年6月まで)、雲の上の頂点のようなレジェンドたちをひたすら追い続けた後、今では、ほんの芥子粒のような小さな世界で一喜一憂している自分がいて、あまりの彼我の隔たりに、頭がクラクラしている。

無人島で一人になっても創作を続ける、というタイプの人間ではないので、外からの承認は、創作のモチベーションの大きな供給源だ。

今年の初め頃にマンガを投稿し始めてから、はや数ヶ月、今のところ、全く反響がなく、そろそろ精神的にキツくなってきているのだが、もうちょっと頑張ってみようと思っている。

 

しかし、そもそもこんなゲームに参画する必要があったのだろうか。

アウトプットなどという品のない真似はやめて、もっと煩悩の少ない暮らしをすべきではなかったか。

そう思って、かれこれ十年以上、ほとんどペンなど握っていなかったというのに、三年前ひょんなことからマンガの模写を始めたことがきっかけになり、また悪い虫が動き始め、気がつくと、せっせとマンガを描いてはネットにアップする日々となった。

アル中業界で言われる”スリップ”というやつだ。何十年も断酒して、完治したと思い込み、試しにほんのちょっと舐めただけで元の木阿弥。泥沼のアル中状態に戻って強制入院というコースだ。

しかし私はもともと何に対しても依存性が低く、飽きっぽい性格ではある。今の病気もほどなく癒えるかもしれない。

いずれにせよ、このプレイは、私自身のやる気がなくなり次第、ただちに終了される。

しかし今のところ、まだやる気は続いている。

 

生の無意味さについては、ただ知っておくだけで十分だろう。常にそれに向き合う必要はないだろう。

なにか、まやかしのようなものにうつつを抜かすのも場合によってはしかたがない。承認をめぐるゲームに振り回されるのも別にいいではないか。とりあえず、まだしばらくのあいだはジタバタしていよう。