もう長いこと運動はしていない。 十年ぐらい前までは、合気道なんてのを、ちょっとだけやっていたが、それ以後は、まともな運動もせぬまま今にいたっている。 通勤の行き帰りに歩いているのが唯一の運動だ。 歩いていると、よくジョギングしている人とすれ違…
こちら(↓)は、はてなブログからのメールで紹介されていた記事。話題になっている記事ということなのだろう。 note.com 自分が一生体験できるはずのないことを詳細にレポートしてくれてありがたかった。 これを読んではっきりしたのは、飛行機のファーストク…
第5話はコチラ
永井均さん自身にとっては、『〈子ども〉のための哲学』という本は、もう古すぎて、あんまり読んで欲しくなさそうなのだが、私が人に、「永井均」的なるものを説明しようと思うと、やはり挙げたいのは、この本なのだ。 この本以上に、問題点がクリアに明示さ…
自分が下手の横好きでマンガを描いてネットにアップするようになってから、あらためて気がついたのは、とにかく世の中にはマンガを描く人がもの凄く多いということだ。 もちろん知ってましたよ。ふだんは視界に入っていないだけで、この世界には、実は膨大な…
2005年8月、三島由紀夫主演「憂国」のネガフィルムが発見された。 それまでこの作品は、三島の死後、三島夫人によって、上映停止、及びネガフィルム全焼却が命じられ、フィルムは現存しないものと信じられてきた。ところが、三島夫人の死後、三島邸を整理す…
遊刊エディストのリレーコラムでは、毎回、その月のテーマというのが決まっていて、今月のテーマは「彼岸」だった。 私は「あの世なんて(たぶん)ない」と思っているので、そのことを率直に書いた。 しかし、さすがにお題に、まっこうからケンカを売ってい…
或る「小倉日記」伝 (新潮文庫―傑作短編集) 松本 清張(著) 本書は、ミステリー作家として名を馳せる以前の、松本清張の純文学的作品を集めた短篇集である。しかし、単なる流行作家の前史的作品集という言葉だけでは括りきれない、重い内容をもった本である…
第4話はコチラ
カントの『純粋理性批判』を通読したのはコロナ前の2019年頃だった。読み通すのにだいたい一年ぐらいかかった記憶がある。 若い頃にはカントには興味がわかなかった。 というより、ポストモダン的なものによって乗り越えられた古色蒼然たる近代思想の権化、…
※冒頭の二コマはTwitterに投稿したマンガのことです。 コルクラボマンガ専科第8期も、もうそろそろ終わったのだろうか。(部外者なのでよく知らない) ここ数か月「#コルクラボマンガ専科」のハッシュタグを勝手に使わせてもらい、投稿を続けていた。意外にい…
北野武の新作「首」を、さっそく観に行った。 封切り初日の朝一番の回。客の入りは八割くらい。週明けの集計報道を見てみないとわからないが、大ヒットというほどでもないのか? 私自身はどうかというと、いの一番に駆けつけるくらいだから、まあ楽しみには…
(承前)高村友也『存在消滅』 死の問題について集中的に語る人に哲学者の中島義道氏がいる。私は一時期、彼の本もかなり読んでいた。 死の問題というのは上手く言い表すのが難しく、「そりゃ誰だって死ぬのは怖いさ」といったありふれた感想を引き出すのが関…
(承前)死の恐怖を解決する方法 最近、哲学者の永井均さんから引用ツイートしてもらうということがあった。 https://twitter.com/hitoshinagai1/status/1723686926098788786 私のツイートのインプレッションは、ふだんはせいぜい百あるかないかといったところ…
(承前)死の恐怖について 死の恐怖を打ち消すルートが一つ考えられる。 独我論の時間バージョン、”独今論”だ。世界は、「今・ここ」しかないわけで、現に今死んでいない上、死は存在しない。 これはただの観念的な屁理屈のようにも聞こえるが、同時にきわめて…
幼少期に、ある日突然、「自分が死ぬ」という事実が、恐るべきリアリティとともに襲いかかり、激しい恐怖とともに泣きわめく、という経験をしている者が多いと聞く。しばしば耳にする話なので、世の中の全員ではないにしろ、それなりの割合で経験者がいるよ…
第3話はコチラ
そういえば、そろそろノーベル文学賞の季節なのでは?と思い、なんとなくネットをチェックしてみたところ、ブックメーカーのオッズは今年も村上春樹がトップ人気ということらしい。 ずいぶん以前から最有力視されつつ選に洩れ続けていたので、そろそろ見放さ…
わかりやすく目次を作ってみました。 この一連の記事の出自と由来については一投目の「マンガ「コンビニ人間失格」」のあとがきに書いてある通りです。 附論の方は、ゆるやかに話がつながっているので、できれば頭から順番に読んでいただく方がいいのですが…
(承前)「社会に出る」 私の最初の就職先は四ヶ月で終わった。 その四か月のことは、あまりに悪夢過ぎて、ほとんど記憶の中から消失している。しかし、なぜだか一つだけよく覚えていることがある。 就職して一、二ヶ月目ぐらいのことだったろうか。 地域の支…
(承前)就職活動 お粗末極まりない就職活動の末ではあったが、なんとか内定を獲得することができた。私は「引きこもり」(当時、その言葉はまだなかったが…)になることもなく、四月から社会人としてスタートすることになったのである。 当然、私は、怯えに怯…
(承前)「おひとりさま」 アルバイトすら怖くてなかなかできなかった私に、就職活動などできるわけがなかった。 周りの人たちがリクルートスーツを着て各社を駆けずり回っている頃、自分は資料請求のハガキすら一枚も出していなかった。 大学四年の春も終わる…
(承前)「命名というマジック」 かつての自分は、世界に類例のない固有の問題を抱えていた。全くどう表現していいのか分からず、もどかしかった。しかし、それは文学や哲学が取り上げるような高級な悩みに比べると、なんとも「絵にならない」もので、幼稚なも…
(承前)「全力で空気を読む」 十年ほど前に「マウンティング」なる言葉を初めて目にしたとき、「言い得て妙!」と思った。 私は、この現象を学生時代からしばしば目にしていた。 俺はコレを知ってるとか、これを読んだとか言い、いや、それなら俺も知ってるし…
(承前)「わからなかったこと その2」 『コンビニ人間』を読んで、主人公の古倉さんに親近感を覚えた。 世界の仕組みがどうなっているのか、さっぱり理解できず、意味もわかず手探りで行動している。その感じが自分に似ていると思った。 自分が「わからない…