マルコによる新明解独語辞典

WEB連載「マンガのスコア」とマンガ「ゴミクズマン」の作者のブログです。

コンビニ人間失格

マンガ【コンビニ人間失格】とその附論・総目次

わかりやすく目次を作ってみました。 この一連のツイートの出自と由来については一投目の「マンガ「コンビニ人間失格」」のあとがきに書いてある通りです。 附論の方は、ゆるやかに話がつながっているので、できれば頭から順番に読んでいただく方がいいので…

90年代の宴会

(承前)「社会に出る」 私の最初の就職先は四ヶ月で終わった。 その四か月のことは、あまりに悪夢過ぎて、ほとんど記憶の中から消失している。しかし、なぜだか一つだけよく覚えていることがある。 就職して一、二ヶ月目ぐらいのことだったろうか。 地域の支…

社会に出る

(承前)就職活動 お粗末極まりない就職活動の末ではあったが、なんとか内定を獲得することができた。私は「引きこもり」(当時、その言葉はまだなかったが…)になることもなく、四月から社会人としてスタートすることになったのである。 当然、私は、怯えに怯…

就職活動

(承前)「おひとりさま」 アルバイトすら怖くてなかなかできなかった私に、就職活動などできるわけがなかった。 周りの人たちがリクルートスーツを着て各社を駆けずり回っている頃、自分は資料請求のハガキすら一枚も出していなかった。 大学四年の春も終わる…

おひとりさま

(承前)「命名というマジック」 かつての自分は、世界に類例のない固有の問題を抱えていた。全くどう表現していいのか分からず、もどかしかった。しかし、それは文学や哲学が取り上げるような高級な悩みに比べると、なんとも「絵にならない」もので、幼稚なも…

命名というマジック

(承前)「全力で空気を読む」 ◎命名というマジック 十年ほど前に「マウンティング」なる言葉を初めて目にしたとき、「言い得て妙!」と思った。 私は、この現象を学生時代からしばしば目にしていた。 俺はコレを知ってるとか、これを読んだとか言い、いや、そ…

全力で空気を読む

(承前)「わからなかったこと その2」 『コンビニ人間』を読んで、主人公の古倉さんに親近感を覚えた。 世界の仕組みがどうなっているのか、さっぱり理解できず、意味もわかず手探りで行動している。その感じが自分に似ていると思った。 自分が「わからない…

わからなかったこと その2

(承前)「わからなかったこと」 もう一つ、わからないままになっていることがある。 「友人たちとお茶をする」などという経験はほとんどしたことがない私だが、一度だけ大学のゼミ生で集まってお茶をしたことがあった。 ある帰国子女の人が、英語をマスターす…

わからなかったこと

(承前)「アサーショントレーニング」 ある時、いつものように飲み会で一言もしゃべれず、悄然と帰りかけていた時、ある人から声をかけられた。 「缶ジュース奢るからちょっとつき合え」と言う。 私は言われるままに、彼と一緒に缶ジュースを飲みながら夜の公…

アサーショントレーニング

(承前)「アライくん」 近著『星新一の思想』などで知られる浅羽通明氏は、90年代、頭でっかちのインテリおたくを舌鋒鋭く批判するスタイルで知られていた。 観念を弄んで、いい気になることを戒め、リアルと向き合い、等身大の自分を直視することが説かれて…

アライくん

(承前)「よくわかるよ」 私はなぜ、こんなにしゃべれないのか。 人としゃべれなくなったのは、中学2年の春に関西に転校して以来のことなのだが、それ以前からその兆候はあった。 小学校も高学年から中学となると、男子は皆、自分のことを「俺」と呼び、他人…

「よくわかるよ」

(承前)「フリーズする私」 人見知りが激しく、いつもむっつりしている。 こういうヤツを見ていると我慢できない人が多いらしく、私は、いろんな人からよく説教された。どれだけ多くの人から懇々と説教されたことか。かなり高圧的にやられることもあったが、…

飲み会が苦手だった私

(承前)「アルバイトができなかった私」 大学時代の私にとって、アルバイトと同じぐらい重要な課題だったのが「飲み会」だった。 飲み会は、自分にとって、何の楽しみでもなく、まさに「修行」のためのものだった。人見知りが激しく、内にこもりがちな私は、…

(「コンビニ人間失格」附論)アルバイトができなかった私

(マンガ「コンビニ人間失格」からつづく。) コンビニのアルバイトはやったことはないが、もしやっていたらどうなっていたのだろうと想像する。二十歳前後の自分は(今もだが)極度の人見知りだったので、ちょっと無理だったのではないかと思う。 対面の接…

コンビニ人間失格

<あとがき> 以上は、イシス編集学校の主催する多読ジムスペシャル「村田沙耶香を読む」(2022年11/5~12/24)に参加した際、卒業制作として提出したもの。 卒業制作は、村田沙耶香先生ご本人に読んでいただくという、なかなか豪華な企画でした。 制作物の内…

フリーズする私

(承前)「飲み会が苦手だった私」 パソコンがフリーズするという話はよく聞くが、人間も、ときにはフリーズするのである。私のような口下手な人間は、よくフリーズする。たとえば、突然、話しかけられたりすると、とっさに声が出なかったりする。 そういえば…

橋本治さんのこと

(承前)「90年代の宴会」 2019年1月、橋本治が亡くなった。 生きていたら、今のコロナ禍のことを、なんて言っていただろう。 私は若い頃、橋本治の、かなりヘヴィな愛読者だった。ことに『親子の世紀末人生相談』なんて、かなり熟読していた。今でも、「人生…