(マンガ「コンビニ人間失格」からつづく。)
コンビニのアルバイトはやったことはないが、もしやっていたらどうなっていたのだろうと想像する。二十歳前後の自分は(今もだが)極度の人見知りだったので、ちょっと無理だったのではないかと思う。
対面の接客など、あの当時の自分に可能だったとは想像しにくい。
実際、大学時代、アルバイトはほとんどしなかった。大学の終わりごろ、時給500円の写真屋の店番を短期間やったのが、ほぼ唯一のアルバイト経験だった。
大学に進学する前は、アルバイトを、できるだけたくさんやってやろうと思っていた。幼い心なりに「何か人生経験を積むために様々なことをしなくてはならん」などと考えていたのだと思う。
しかし、いざ大学生になってみると、身がすくんでしまい、どうしてもアルバイトができなかった。
もともと家庭教師なんてものも、一度は体験してみようと考えていた。
しかし、見知らぬ中高生と一対一になって会話するなど、自分にはとても恐ろしくて、できそうにない。しかし、小学生ならギリギリいけるのではないかと思った。
一大決心の末、家庭教師派遣会社に小学生希望で登録した。
しかし、いざ相手先候補が決まったとの連絡を受けるや、とつぜん臆病風に吹かれ、面談を断ってしまった。そしてそのまま派遣の登録も解消した。
「家庭教師のアルバイトは、そのうち絶対にしよう!しかし、今はまだ時期尚早だ」
もう少しコミュニケーション能力を高め、度胸をつけてから再トライしようと思った。しかし、そうこうしているうちに大学四年間は過ぎ去ってしまった。
飲食業のアルバイトなども一度は経験しておくべきではないかと思った。
いきなり注文取りなどの接客は無理としても、皿洗いなどのバイトから始めればいいのではないかと思った。しかし、厨房の人間関係などが、なんとなく怖そうで踏み出せなかった。
そもそもアルバイトをせねばと思うばかりで、アルバイト情報誌を買うことすら苦痛だった。本屋でパラパラ見ているうちに、うっとうしい気分になり、「今日は、まあいいか」と、すぐに馴染みの小説や思想の本棚の方に退散した。
「飲み会が苦手だった私」につづく。